【2020年12月30日号】 いわき震災通信(ピープル&おてんとだより)vol.8

【2020年12月30日号】 いわき震災通信(ピープル&おてんとだより)vol.8

ピープル&おてんとだよりvol.8

【2020年12月30日号】

皆様、
 
すっかりご無沙汰しているうちに、年末を迎えてしまいました。もう間もなく、激動の2020年が幕を閉じようとしています。
そして、コロナウイルス禍は一向にその勢いを鈍らせることなく、これまでに国内では23万人近くの感染者数を記録しています。
一方にはワクチン開発の動きの早まりに期待が膨らみますが、変異種の国内での感染者確認もあり、先行きの不安が解消されるにはまだまだ時間がかかりそうです。
こうしたwithコロナの時代が来ることを1年前には頭の片隅にも思い描けていなかった私たちにとって、この1年は動くこと、留まること、その一つ一つの判断までが新たなチャレンジの積み重ねでした。
その中で、ザ・ピープルという団体がこの1年、どのように活動してきたのかを遅ればせながら簡単にご報告させて頂きたいと思います。

 

毎年恒例行事として行ってきた「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」の首都圏での報告会は、6月13日にzoomを使用してのオンラインで開催されました。昨年までなら思い付きもしなかった手法が、コロナ禍の中では必然として受け止められ、全国各地の方々と、ピープル及び株式会社KITENの事務所、そして各地のコットン畑を中継で結んでの報告会となりました。そして、80名を超える方々に参加頂くことが出来ました。

首都圏からの援農ボラバスの来訪数はめっきり減ってしまった今年ではありますが、この報告会の中でコットン畑の様子を目にした参加者の方々から「また畑に行って農作業のお手伝いをしたい!!」との声を沢山頂くことが出来、きっとまたコットン畑で再会できる日が来ると確信できるありがたい場となりました。

その各地からのボラバスの代わりに、「援農隊」が市内で活躍したのも今年ならではの動きでした。
一つは、地元の大学である東日本国際大学のライオンズクラブのメンバーと河合伸教授のゼミ生の皆さん。
昨年の台風19号の被災後に、夏井川の氾濫でダメージを被った平下平窪地区のコットン畑とその管理者の鈴木京子さんのお宅の片付けのお手伝いをして頂いたご縁がつながって、今年はこのコットン畑の栽培に何度も足を運んで下さいました。
夏には、付属高校の生徒さん、秋には系列の短期大学の学生さんたちも加わり、コットン畑での交流の輪が広がりました。そして、この学生さんたちとは、いくつかの新企画もご一緒することが出来ました。
大学の学園祭でのプロジェクト紹介ブースと、本会が主催するオーガニックコットン糸の草木染め教室会場をつなぐオンライン中継。コットン商品アイデアコンテストの開催。留学生を介したネパールの女性たちに対するオンラインでのプロジェクト紹介…。様々なチャレンジの積み重ねの中から、若い柔軟な発想とエネルギーが私たちのプロジェクトにもたらされました。
そして、もう一つは「みんなの畑」の参加メンバーによる「援農隊」。
小名浜上神白のコットン畑で栽培に関わり続けてきてくれている原発避難者を中心とした皆さんが、今年は栽培のお手伝いに来て下さる方の少ないプロジェクト全体の課題を打開すべく、「援農隊」として市内のほかの地域にあるコットン畑に足を延ばして収穫などの農作業を行ってくれるようになったのです。
様々な畑に足を運ぶうちに、今後の栽培へのアイデアも浮かぶようで、「ここの畑では、もっと早く種を蒔かなきゃね」というような言葉が飛び交いました。
そして、一緒に栽培を進めている「みんなの畑菜園」の方では、有機農法で栽培された野菜を市内のコミュニティ食堂に食材として提供したり、市内の産直市場で試験販売したりと、新しいチャレンジが加わりました。

昨年の台風19号の被災後の支援活動の流れから、今年は「コロナ禍の中で災害にどう対応するか?」という学びを得る場づくりにもチャレンジしてきました。実際に7月九州豪雨の被災地となってしまった熊本県人吉球磨地域で、コロナ禍の中活動してきた支援団体の方々に、現場での工夫のお話を伺う機会を設け、支援団体の関係者や自治会の役員の方々と共に学ぼうとしたのです。

8月、10月にいわき市の助成を頂いて研修会を開催。その後にはこの経験を活かしていわき市の委託事業としての学びの場づくりを行い、その内容はYOU YOUBEでも発信しました。

 

このアドレスからアクセスしてみてください。ご覧いただけます。

 

こうした取り組みを継続するようになった背景には、台風災害後の支援活動として被災地区内でのサロン活動を計画していたにも関わらず、地元の自治会側からコロナ禍の中でサロンを設けることへの懸念が強く寄せられ、全く動き出せない状態に陥ったことがありました。この学びの場を通して得られた成果が、平常時からの地域の中でのつながりであったことは、当然なことではありながら深く考えさせられるものでした。

今年度、私たちはセブンイレブン記念財団の助成を受けて「フード&クロジングバンク」という新たな仕組みを地域の中に構築しようと動いてきました。これは、地域内で何らかの理由で生活困窮により食の部分で支援の必要な状態に陥った方への食の提供を行う「フードバンク」の事業と同様に、衣の部分でも必要に応じて支援ができる形を整えようとする試みです。

長年ピープルが本来事業の中で対応してきたことではありますが、地区保健福祉センターや福祉施設などから入ってくる衣料提供オーダーに応えることを、ピープルの持つ機能の一つとして明確に打ち出そうとしているのです。来る1月31日には、この事業をPRするイベントの開催を計画しています。コロナ禍の中ではありますが、工夫をして何とか開催にこぎつけたいものです。

 
本業の古着リサイクルに関して、コロナ禍は大きな影響をもたらしました。
最も大きな出先である反毛工程では、古着を繊維状に戻して自動車の内装材に加工していることから、今春の緊急事態宣言の大騒ぎの中では出先が滞り、大量在庫に悩まされました。その模様はTVの情報番組で取り上げられるほどでした。
そして、今。
この反毛工程の中核を担っていた工場で、今秋火災が発生。
反毛工程の設備を元通りに戻すまでには1年以上かかるという情報が、私たちのもとに届けられました。
私たちとしても1月末までの古着回収をストップ。
その後は冬服などについては古着の提供をできるだけ差し控えて下さるよう市民の皆さんに呼びかけを行おうとしています。古着を燃やさない社会づくりが何の課題もない状態で進められる日が、2021年中に訪れることを心から願わずにはいられません。

 

本年中は大変お世話になりました。皆様にはよいお年をお迎えください。
長文失礼致しました。

 

吉田恵美子
特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
事務局 〒971-8168 福島県いわき市小名浜君ヶ塚町13-6
TEL 0246-52-2511 FAX 0246-92-4298 URL:https://npo-thepeople.com/  

 

小名浜ボランティアセンター センター長
http://onahama-volunteer.jimdo.com/

 

いわき おてんとSUN 企業組合 代表理事
事務所 〒970-1152 福島県いわき市好間町中好間字川原子作17-1 
TEL/FAX 0246-80-0662  http://www.iwaki-otentosun.jp/