【2018年11月17日号】 いわき震災通信(ピープル&おてんとだより)vol.2

【2018年11月17日号】 いわき震災通信(ピープル&おてんとだより)vol.2

ピープル&おてんとだよりvol.2です。
もしよろしければお付き合いください。

【2018年11 月17日配信】
皆様、
今日も、気持ちのいい青空が広がっています。
澄んだ空気は間近に迫った冬の訪れを予感させています。
お変わりありませんでしょうか?
vol.1から今までの間に色々なことがありましたので、ご報告させていただきます。長文ですが、お許し下さい。

10月7日、1年以上の時間をかけて準備をしてきた「全国コットンサミット in 福島いわき」が開催され、全国各地から350名以上の方にお出で頂いて、無事終了することができました。
全体会での基調講演や全国各地の事例発表、会津木綿を活かしてデザインされたファッションショー(コットンプロジェクト福島による企画)、コットンマルシェや各種の分科会…。多彩な企画を組み合わせ、国内でコットンを育て商品を生み出すということについての新たな学びと交流を深める1日となりました。
コットン、木綿の栽培は、西日本中心のものと考えられがちですが、福島県内には会津木綿の伝統があり、東日本大震災後に生まれた取り組みとして「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」など新たな動きがあることを、全国の方々に知って頂こうと企画されたのが、今回のサミットでした。福島県は勿論、東北の地でこうした機会を持つのは初めてということで、市内にお住まいのコットン愛好者の方も加わり、コットン、特に有機農法で栽培されたコットンの魅力に直接触れる
又とない機会となりました。
参加して下さった皆様、企画段階から知恵や力を貸してくださった皆様、福島県からの助成金だけでは賄いきれない事業費を補うためにご協賛くださった皆様に、心から御礼申し上げたいと思います。

このサミット開催に合わせて、前日6日と7日には首都圏発着で会津木綿の伝統を訪ねつつサミットに参加する1泊2日のバスツアー(「コットンサミットin福島いわき」実行委員会主催)が、翌10月8日には「福島浜通の今を知るエクスカーション」(ザ・ピープル主催)が催されました。
8日のエクスカーションには私自身も参加し、添乗兼ガイド役を務めさせて頂きました。このエクスカーションは、いわきをスタートして南相馬市鹿島区までのバスツアーで、原発事故後の影響が残る双葉郡内の状況を直接ご覧頂くとともに、その地域内でも始まっているコットン栽培がどんな意味を持つのかを感じ取って頂こうと企画されたものでした。進む復興と取り残される現実…そのギャップを感じ取って頂きたいとの想いがあってのルート設定でした。
広野町から富岡町までの車中では、ふたば未来学園の生徒さんによる復興に向けた想いの籠ったガイドが、富岡町から帰還困難区域を通って南相馬市に至るまでは一般社団法人AWFの吉川彰浩氏による自身の体験に基づくガイドが行われました。
23名の参加者のほとんどが、福島浜通りを震災後訪問するのは初めてということ。帰還困難区域内で一旦バスを停め、間近に震災後7年半が経過しても今尚残る現実を目にして頂きました。吉川氏が語る言葉に耳を傾けながら、熱心にバリケードが遮る景色を見つめる参加者の複雑な表情が印象的でした。
一方、広野町や富岡町で進められているコットン栽培の現場では、珍しい和種の茶綿を楽しそうに収穫し、柔らかな手触りを一人ひとりが確かめていました。同行した日本オーガニックコットン協会の理事長森和彦氏たちによるコットンについての解説も加わり、深い学びと気付きのひと時となりました。
そして、エクスカーションの目的地である南相馬市鹿島区生涯学習センターでは、地域の農家民泊のお母さんたちが腕を振るった郷土料理の昼食を堪能し、「ジャパンブルー柚木」の皆さんが育てた藍で「ふくしまオーガニックコットン」の茶綿手ぬぐいに思い思いのデザインで手染めを施す体験教室が催されました。染め上がって、茶綿の生成りと深い藍色のコントラストが生み出す彩に、参加者全員が大満足の様子でした。
なお、この事業は地球環境基金の助成事業の一環として行われました。

10月27日には、ザ・ピープルが事務局を務めるいわき市内の国際交流・協力関係団体のネットワーク組織が主催する「第17回いわき地球市民フェスティバル」が開催されました。昨年度から、市内在住の外国にルーツをお持ちの市民の方々による日本語でのスピーチコンテストとその出場者を囲んだ交流会をメインを据えた事業にしているものです。
小学生、留学生、技能実習生、英語講師など12名の出場があり、「こうなったらいいな、明日のいわき」というテーマで様々な想いを語ってくれました。
一般の部と高等教育機関で就学中の方の部に分かれての審査でした。一般の部で大賞を受賞した小学6年生の児童のスピーチに、会場の全員が心打たれました。
彼女は語りました。
「私のふるさとのフィリピンは、以前日本と戦争をしたことがあると聞きました。…戦争
のない社会を皆が力を合わせて作っていくことが一番大事です。」

11月12日、「チャンピオン・オブ・チェンジ」日本大賞(フィッシュ・ファミリー財団主催)の授賞式に入賞者のひとりとして参加させて頂きました。この賞は草の根的に活動する女性リーダーを応援するために、昨年度創設されたもので、
他薦による140数名の中から入賞者9名(8団体)が選ばれ、この日に大賞受賞者が選出されるというものでした。
私自身は大賞には至りませんでしたが、神戸市で長年DVシェルターの活動を継続して来られた正井禮子氏(認定特定非営利活動法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ 代表理事)が大賞を受賞し、ほかのそれぞれ素晴らしい活動をしている素敵な入賞者と共に心から拍手を贈れたことが何よりの体験でした。
地道な活動を誰かが目に止めて他薦して下さったということが、この賞の何にも代え難い部分だと感じています。創設者である財団の厚子・東光・フィッシュ氏に心から感謝したいと思います。
審査委員長の石川治江氏が、講評の中で入賞者を評して「あなたたちは時の当番です」と語っておられました。当番の一人として、これからも自らの役割を全うしていきたいと思います。

そして、今日は避難者の方たちと一緒に進めるコットン栽培「みんなの畑」の収穫祭です。今年は例年以上の収穫が見込まれています。当番の務めに行って参ります。
いつもながら長文で失礼致しました。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

吉田恵美子
特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
事務局 〒971-8168 福島県いわき市小名浜君ヶ塚町13-6
TEL 0246-52-2511 FAX 0246-92-4298 携帯 090-2881-3107
URL:https://npo-thepeople.com/
小名浜ボランティアセンター センター長
URL:http://onahama-volunteer.jimdo.com/

いわき おてんとSUN 企業組合 代表理事
事務所 〒970-1152 福島県いわき市好間町中好間字川原子作17-1
TEL 0246-80-0662 FAX 0246-85-5978
URL:http://www.iwaki-otentosun.jp/