【2018年1月3日号】 いわき震災通信vol.100

【2018年1月3日号】 いわき震災通信vol.100

皆さま、

明けましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

この通信が100号を迎えました。

2011年3月の東日本大震災発災直後、いわき市の状況を知っていただきたいとの思いで発信し始めたこの通信。

新たな年の幕開けに合わせて100号という大きな節目を迎えられたことに、感謝したいと思います。

これも、「配信不要」と仰らずに受け取ってくださった皆さまのおかげです。

ありがとうございました。

 

この通信にまつわる嬉しい再会が、昨年末に偶然ありました。

発災後間もない時期に、私は国際交流関係で以前からお世話になっていた方から、二つのことをするようにとの助言を頂きました。

「現状の記録を残すこと。情報の発信をすること。これらがいずれ必ず役に立ちますから。」

そして、それに加えて「外から入ってくる支援の団体(国際協力関係の団体)はいずれ出ていきます。寄付者への説明責任の範囲で動かざるを得ないからです。その時地元に残るのはローカルの団体だけです。」とのアドバイスもいただきました。

これらの言葉を受けて、私はデジカメを手に現場に立ち、この震災通信をそれまで名刺交換をさせていただいた方々に向けて発信し続けました。

そして、外部からの支援の波が引いていくのを見守りながら、被災者・避難者支援事業の中に組織として留まり続けようとしてきました。

その後お会いすることのなかったその方との再会でした。

 

2011年3月21日に送られた最初の号の締めくくりにはこうあります。

「こうして徐々に日常の生活に戻っていくとき、一番怖いのはいわきに対する風評被害だと思います。ネット上ではいわきに対する誤った情報が飛び交っています。放射能汚染が原因でこどもや老人が死んでいくような状況は決してありません。心に一抹の不安を抱いていることは否定できませんが、それでもいわきのためにと懸命に働いている多くの仲間がいることを是非皆様に知っていただき、誤解を解くお手伝いをお願いできればと思います。」

随分と昔のような気がしますが、残ってしまった課題がないわけではないことを思い出させられます。

 

ザ・ピープルがFAAVO磐城国で行って参りましたクラウドファンディングに多大なご支援を賜り、ありがとうございました。

新活動拠点整備のための資金調達に対して、目標額を大きく上回るご支援をいただくことができました。

この場を借りて心から御礼申し上げます。

昨年末に基礎工事を済ませた敷地に、新しい建物が設けられました。

当初から危惧していたこととは言え、二つの事務所機能を集めるには手狭な感じは拭えませんが、それでも団体本部とボラセンがひとつになったことで、仕事の流れはずっとスムーズになったように感じられます。

ウッドデッキを皆で作ろうという試みも計画されています。

施設の整備はまだまだこれからですが、いつの日にか皆さまに足を運んでいただき、「いい集いの場ができましたね!」と言っていただけるように、組織のメンバー皆で力を尽くしていきたいと思います。

 

同じくザ・ピープルが企画している「コットンランプシェードプロジェクト」。

皆で紡いだ糸で311に希望の明かりを灯そうという取り組みが、たくさんの方々の手で進められています。

福島で収穫された綿を、チャルカやスピンドルという簡単な道具を使って、皆で紡ぐ手紡ぎの糸。

それを、風船の周りに巻きつけて作るコットンランプシェード。

そのランプシェードを、今年の311に津波被災エリアであるいわき市久之浜地区で自然エネルギーの力で灯すという事業です。

津波被災エリアに新しく生まれた商業施設、浜風きらら周辺が会場となります。

コットンランプシェードだけでは明かりの足りないところは、いわきイルミネーションプロジェクトチームが全面的に協力してくれることになりました。

自然エネルギーの供給は、もちろんいわきおてんとSUN企業組合が担います。

糸を紡ぐ道具、チャルカとスピンドルは長野の木工職人さんたちの協力といわき市内の木工房大杢によって生み出されています。

防災緑地の防風柵にライトをぶら下げることを県の建設工事事務所が承認してくれました。

久之浜地区の希望の象徴である稲荷神社(ずっと秋葉神社と申していましたが、神社の総代さんから名称の訂正をいただきました)へのライト設置の了解を、総代さんからいただきました。

そして、明かりを灯すだけではなく素敵な音楽も楽しめる場にしようと、クラシックやゴスペル、

そしてウクライナの歌姫も来てくれることになりました。

もちろん、ランプシェード作りにも力が入っています。

中心的な役割を担っているのは、四倉地区の福島さんのコットン畑に集い、コットン栽培や野菜作り、そして収穫したコットンでの糸紡ぎや織りまでチャレンジしている、畑の会と織姫の会の皆さんです。

これまでに250個を超えるランプシェードが出来上がっています。

いわきにはいなくても、都内の企業の方々や、ボランティア団体の方々が糸を紡ぎ、想いを重ねて下さっています。

エコプロダクツや福島大交流フェスタといったイベントの会場で、来場者の方に紡いで頂いた糸もあります。

神奈川県相模原市では、「青い鳥」というボランティア団体が、311当日に私たちと連携してコットンランプシェードを灯そうと準備を進めてくれています。

今年の7回目の311は、皆が一緒に想いを重ねることを、改めて噛み締める日になることでしょう。

いつもながらの長文にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

 

吉田恵美子

特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長

事務局 〒971-8101 福島県いわき市小名浜蛭川南5番地の6

TEL 0246-52-2511 FAX 0246-38-9538 携帯 090-2881-3107

URL: https://npo-thepeople.com/

 

いわき市小名浜地区復興支援ボランティアセンター センター長

事務所 〒971-8164 福島県いわき市小名浜君ヶ塚町13-6

TEL/ FAX 0246-92-4298

http://onahama-volunteer.jimdo.com/

 

いわき おてんとSUN 企業組合 代表理事

事務所 〒970-1152 福島県いわき市好間町中好間字川原子作17-1

TEL 0246-80-0662 FAX 0246-85-5978

http://www.iwaki-otentosun.jp/