【2015年10月24日号】いわき震災通信vol.84

【2015年10月24日号】いわき震災通信vol.84

皆様、

昨日いわき市の中山間地三和町まで車を走らせたとき、車窓から見える里山の木々は着実に色づき、秋も終盤へ近づいたと如実に物語っていました。

前号からの間に大きな災害がまたもや日本列島を襲いましたが、お近くで被害などありませんでしたでしょうか?被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上げます。

茨城県常総市での水害の報に接し、何かお手伝いできないものかと思っていました。小名浜地区復興支援ボランティアセンターという看板を掲げている者として、震災後にいただいた沢山のご恩に報いるためにも、何かできないか…。ずっと問い続けていました。若い仲間たちの中には、直接常総市に出向きボランティア活動に参加する者もありましたが、ザ・ピープルとしてできる形の支援があるのではないかという思いがありました。

そんな中、震災後ずっと埼玉県からいわきに足を運び続けてくれている「絆ジャパンボランティアチーム」代表の坂下三浩氏のFBページで、常総市に救援物資として送られてくる古着の中に使用できないものが数多く含まれており、その処理に苦慮していることを知りました。

震災のあと私たちの現場でも起きた現象が、残念ながらまたも繰り返されているのです。

「これなら私たちにもお手伝いできる。いや、これは私たちにしかお手伝いできない」との思いが芽生えました。

早速、坂下氏に連絡を取り、常総市の担当者の方と繋がり、実情を伺うことが出来ました。今、常総市に行き場のない状態で山積みになっている古着は、目算で10トントラック3台分。倉庫の内1箇所は10月末には引き払わねばならない状態であるとのことでした。ひとまず、今週末に「絆ジャパンボランティアチーム」の皆さんが防寒着などこれから使える衣類を選び出し、残ってしまった古着について10月31日に本会が手配した10トントラック1台で搬出する段取りが整いました。

被災地の負荷を少しでも軽減できたら…と願っています。

そして、次の災害時には、こうしたことが繰り返されないように、私たちは考えなければならないと改めて思っています。

今夏も、「水俣に学び、いわきの未来を創るプロジェクト」として、いわき市内の中高生を熊本県水俣市およびその周辺地域に派遣しました。

この事業を開始したのは、震災翌年の平成24年度。当時、いわき市における社会課題を水俣と関連付けて語るとき、周囲から返ってくる反応は、その意味合いを測りかねるというものが少なくありませんでした。

しかし、これまでの時間の経過の中で、水俣から人を招いて話を聞こうとする動きや、実際に水俣に足を運んで学びを求める動きが、私たちの周辺でも生まれています。

いわきと水俣の社会課題の間に類似性を感じる人が、間違いなく増えてきているのです。

水俣で一つの公害病の発生に起因する社会問題が起きたとき、人々はその解決に向けた動きを生み出すまでに長い戦いと沈黙の時間を必要としました。その過程を学ぶことで、いわきで起きている、起きようとしている社会問題の解決に向け動き出すための時間を少しでも短縮させたいというのが、この事業を開始した目的でした。

そして、その担い手として、次のいわきを支える人材となる若者たちにこそその学びを伝えようとしてきました。

参加する学生たちは、その思いに応え、「自分たちの町に自分たちはどう関わるべきか」という重い宿題を抱えて派遣研修から戻ってきました。その答えを見出すため、もう一度参加したいと申し出る者も現れました。そして、フィリピンやネパールでの災害の報を受けて、自ら募金のため町角に立つ者もありました。

今回の常総市での水害には、仲間を募ってボランティアに出向くという行動力も見せました。第1回からの参加者たちが派遣年度の違いを超えて交流し、協力し合う姿にその大きな力と広がりを感じています。そして、第4回となった今年の派遣では、鹿児島県出水市の地元中学生との交流の中で、熊本県水俣市に隣接し同様の患者発生が見られた同市にあって、自分たちと同世代の学生たちに水俣病について教育現場で伝えられていない現状を見聞するという体験をしました。「なぜ伝えられていないのだろう?」この素朴な疑問の中から、彼らはさらに多くの気付きを得、自らの言葉で伝え続けることの重要性を再確認しました。そして、それは出水市の中学生の中にも波紋を生み出す結果となりました。

本事業の報告会を、11月3日(祝)13:30~15:30 いわき市文化センター2F会議室で行います。

いわき市の「いわき市明日をひらく人づくり基金」の助成のもとに進められた本事業は、今年度が助成年数の期限であることから、次年度以降の継続が約束できない状態にあります。

そのことを参加学生たちに伝えたとき、彼らの中から声が上がりました。

「自分たちでこの事業を継続していきたい。この事業を通して、同じようにいわきの町を真剣に考える仲間を増やしたい。」この言葉が、研修直後の興奮状態の中の言葉だとは思いたくありません。彼らの来年が、その先が楽しみでなりません。是非、一緒に彼らの声をお聞きください。

いわきおてんとSUN企業組合(平成25年度)と広野町わいわいプロジェクト(今年度)は、共に復興庁の「新しい東北先導モデル事業」として多大な支援を頂きながら事業を進めてきています。

こうしたモデル事業の関係者向け交流会が、11月7日いわき市内で開催されるのに合わせ、この二つの取り組み現場を実際にご覧いただくエクスカーションを企画しました。ソーラーでの紅葉ライトアップやおてんと事務所周辺での取り組み、広野町でのコットン栽培、いわきパークフェスの紹介と、双葉郡内に今も残る厳しい現実の視察…。1泊2日でじっくり腰を据えて見て頂きたい、聞いて頂きたいと思っています。

詳しくは、下記のHPに掲載されています。

http://www.iwaki-otentosun.jp/otentosun/news/2015/10/1178in.php

もし、ご都合が合えば、ご参加下さい。(10月31日締切)

(直接私宛にお申し込み下さい。割引適用があります!)

 

今回も、長文にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

 

吉田恵美子

特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長

事務局 〒971-8101 福島県いわき市小名浜蛭川南5番地の6

TEL 0246-52-2511 FAX 0246-38-9538 携帯 090-2881-3107

URL:https://npo-thepeople.com/

いわき市小名浜地区復興支援ボランティアセンター センター長

 

事務所 〒971-8164 福島県いわき市小名浜君ヶ塚町13-6

TEL/ FAX 0246-92-4298

http://onahama-volunteer.jimdo.com/

 

いわき おてんとSUN 企業組合 代表理事

事務所 〒970-1152 福島県いわき市好間町中好間字川原子作17-1

TEL 0246-80-0662 FAX 0246-85-5978

http://www.iwaki-otentosun.jp/

 

※ なお、上記の組織はいずれも政治的活動については中立の立場を堅持しております。