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8月4日号
the-people
2011/08/04 17:53:00
豪雨と余震に見舞われた7月末から1歩抜け出して、8月に入りました。いわき七浜に海水浴客の姿はありませんが、夏祭りのシーズンがいわきにも訪れています。8月6日からは平で恒例の七夕祭が催されます。11日には小名浜花火大会が、「NIPPON LIGHT UP」とタイアップする形で、規模はかなり縮小するものの開催される予定になっています。そして、13日からのお盆の間はいわき市内のあちらこちらでじゃんがら念仏踊りの鐘と太鼓の音が響くことになります。鎮魂と復興。二つの祈りを込めた祭りの日々になることでしょう。昨日は、日本でLOHAS(ロハス)を最初に紹介したソーシャルアクションプロデューサーの大和田順子さん一行と一緒に、常磐湯本温泉の老舗旅館古滝屋の里見喜生若旦那の案内の下、津波の被災から立ち上がろうとしている道の駅四倉港や中央台ニュータウンに集中して建設されている仮設住宅などを見て回って来ました。中央台ニュータウンという新興住宅地の空き地には、いわき市・広野町・楢葉町それぞれの被災者向けの仮設住宅がエリアを区切って建設されています。真新しい木の香りのする木造の仮設住宅がある一方グレーのプレハブもあり、商店のあるエリアまでは自動車がなければ移動も難しい状況です。2年の期限付きの提供住宅での生活ではあっても、少しでも快適に過ごせるような工夫が出来ないものかと考えさせられる部分が多々ありました。大和田さんとは、7月15・16日に宮城県亘理町で開催された「結プロジェクト第1回車座in 亘理町」(主催:東北と首都圏女性の交流による・結プロジェクト実行委員会)でお会いしました。首都圏など他地域の方々と繋がることで、今後のいわき再生に向けた力やアイデアを何倍にも増幅できるということを、震災後の体験の中で私自身はずっと感じ続けてきました。今回の訪問から次にどんなビジョンが生まれてくるのか、楽しみでなりません。まさに、ピンチをチャンスに!です。いわき観光まちづくりビューローから、東日本大震災により甚大な被害を受けた福島いわきエリアの観光と産業の復興を図るため、いわき観光共同キャンペーン実行委員会とJR東日本水戸支社共催で行われる「来てくんちぇ!いわき・福島 全国キャラバン」の案内がありました。これは8月1日より約1ヵ月間、東日本エリアの主要駅にて開催されるものです。会場では、いわきエリアの観光情報の紹介や名産品等の物産販売、「フラガール」によるフラショーが行われます。■開催場所及び日時8月1日(月)11時~19時上野駅中央改札グランドコンコース8月2日(火)11時~17時東京駅※地下1階動輪の広場8月9日(火)11時~17時盛岡駅2階北側コンコース8月10日(水)11時~19時仙台駅中央口改札前8月18日(木)11時~17時長野駅※中央改札口前8月22日(月)11時~19時大宮駅西口イベント広場8月23日(火)11時~19時高崎駅西口8月29日(月)11時~19時千葉駅東口8月30日(火)11時~19時横浜駅西口8月31日(水)11時~19時水戸駅改札口前ということで、この物産品の一つとして、本会の「がんばっぺいわき」ワッペン付きトートバッグの販売も行っていただけることになりました。品数が少ないので、沢山の品々に紛れてしまうかもしれませんが、お近くで開催の折には覗いてみていただければと思います。吉田恵美子特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
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8月17日号
the-people
2011/08/17 10:06:00
テレビから流れる京都五山の送り火の映像を、遠く離れたいわきの地からこんなに複雑な思いで見つめる日が来るとは思っていませんでした。
陸前高田より遥かに福島第一原発に近いこのいわきに住んでいる者たちにとって、放射性物質の拡散が我々の想像を超えて進んでいるという事実を再確認すると共に、微量でも検出されれば…という判断に、「仕方ない」とは思いながらも正直なところ幾ばくかの反発を禁じ得ませんでした。
今回の天災ではなく人災の部分が抱える闇の奥深さを垣間見たような気持ちになったのは私一人でしょうか。
8月17日から19日までの3日間、ザ・ピープルではあるイベントを行います。
タイトルは「被災者支援チャリティバザーと『衣』から始まる再生フェア」(共催:いわき市)。
会場は、小名浜さんかく倉庫潮目交流館。
隣接する小名浜美食ホテルと共に、昨年までは夏休みシーズンには小名浜港の観光スポットとして多くの観光客で賑わう場所でした。
どちらの建物も津波により直接的に大きな被害を受け、今年は全く営業できない状態になってしまいました。
そして、5月頃には殆ど毎日のように小名浜地区災害ボランティアセンターから数多くのボランティアが出向いて、津波泥に汚された施設の掃除のお手伝いを行ってきました。
そして、津波被災から立ち上がろうと小名浜美食ホテルが「夏だけ限定オープン!」(8月13日~21日・詳細はHPを御覧下さい)を行うのに呼応して、私たちも潮目交流館でイベントを催すことにしたのです。
しかし、小名浜港周辺地域は未だ電気が復旧していない箇所があります。
美食ホテル・潮目交流館前の産業道路も信号が停止しており、建物自体にも電気はきていません。イベント開催中は、発電機や投光機、トイレ用の懐中電灯などを用意し、不都合が生じない程度に明るさを保ちますが、基本は自然採光のみです。
不自由な中でのイベント開催です。
今でも時折起こる余震のための避難経路確保など、通常では全く想定することの無かったことへの対応も忘れることが出来ません。
それでも、ここで開催を決意しました。
実は、震災がなければ、3月20日に潮目交流館内でこれとよく似たイベントを「ザ・ピープル リメイク&手づくりフェア」(共催:いわき市)として開催することになっていました。
いわき市の委託を受けて進めてきた福島県緊急雇用創出基金事業「ファイバーリサイクル推進業務」の一環としての開催ということで、古着を素材として楽しみを生み出すことを広く提案しようと力を入れて準備を進めていたものでした。
今年もいわき市から同様の委託事業を受託できたことから、何とか前回のリベンジを図りたいと考えたのです。
今回は、被災者支援のチャリティバザーや「いわきおりがみ会」による「ありがとう!ひまわりプロジェクト」や小名浜地区復興支援ボランティアセンターの被災状況写真・活動写真展示を加えて、再生・復興に向けたきっかけのイベントとすることにしています。
「ありがとう!ひまわりプロジェクト」とは、いわきの津波被災地で活動してくれたボランティアさんたちにお礼の気持ちを込めてひまわりのブローチを贈ろうという取り組みです。
そして、8月18日14:00からはいわき海星高校のじゃんがらチームが演奏を披露してくれることになっています。
もし、いわきにおいでになれる方がいらしたら、覗いてみてください。
そして、津波被災からの再生の力を感じ取ってください。
吉田恵美子
特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
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8月30日号
the-people
2011/08/30 10:11:00
昨日、高速道路を福島市へと車を走らせました。
車中はまだ暑いのですが、窓の外に目をやれば、道端のススキの穂は大分伸びて萩の花らしき小さな紫の花も目に飛び込んできます。
遠くの磐梯山や吾妻山などの山々にもそこはかとない秋の気配が添えられているようです。
福島市内のりんご畑には青い林檎の実が重たげにぶら下がり、色づく季節の訪れを待ち構えています。
季節は着実に歩みを進めています。
実りの季節に放射能が暗い影を落とさないように、と祈らずにはいられません。
8月28日までの5日間、熊本県の九州看護福祉大学から大学生のボランティア9名がいわきにやって来ました。
ピープルの震災後の活動をずっとバックアップして下さっている熊本県のNPO法人「れんげ国際ボランティア会」の仲立ちで、ピープルと小名浜地区復興支援ボランティアセンター双方の活動に参加することになったのです。
25日には、小名浜地区内の津波被災地で、被災した住居に手を入れながら住み続けておられる方たちのお宅を訪問して、現況を伺う活動。(…こうして努力しておられる方たちへの支援がどうしても後回しになってしまうという現実があります)
27日には、小名浜地区の県営雇用促進住宅の集会所での支援サロンで、住民の方のお話し合い手や子供たちの遊び相手をする活動。(…被災者支援の見守り事業として復興支援ボランティアセンターとしても初めての開催でした)
28日には、中央台の仮設住宅の集会所で薬草茶カフェと薬草入りフットバスとマッサージの提供をする活動と、同時に開催されたシンガーソングライター野田かつひこさんの爆唱ライブ運営のお手伝いの活動。(…原発事故の影響で広野町から避難して来られた方々の居住する地区での開催でした。野田さんがつくられた福岡県西方沖地震で被災した玄界島への応援歌「僕のふるさと玄界島」に、ご自身を重ね合わせるようにして聴いておられる姿が印象的でした)
その他にも毎日盛り沢山の活動メニューが準備され、学生たちは一つ一つの活動を積極的にそして丁寧にこなしてくれていました。
フットバスの間中、集まってきたおばあさんたちに話しかけながら背中を揉み続ける学生たちの手が止まることはありませんでした。
看護福祉大学の学生だからこそのボランティアの形がそこにはありました。
「遠く離れた九州にいて、何かしたいと思っても何もできずに悔しい思いをしていました。こうしていわきに来て、皆さんのために少しでもお役に立てることが出来てうれしいです。」
野田かつひこさんのライブに先立って挨拶した学生の代表が満面の笑顔で語りました。
会場の誰もが思わず学生たちへの激励の拍手をしていました。
小名浜地区災害ボランティアセンターでも数多くの学生の方たちを迎え入れ、骨身を惜しまずガレキ撤去や津波泥除きの作業にあたる彼らの姿に何度となく心打たれました。
震災は悲しい体験には間違いないですが、学生たちの人としての逞しさをこれほど実感できたのはこの震災があったからこそなのだと思います。
そして、震災以後の体験の中から彼ら一人ひとりが何らかのことを学び取ってくれるならば、震災も決して無駄ではなかったような気がするのです。
9月3日、4日には東京秋葉原のAKIBA SQUAREに於いて「東日本大震災復興イベント フラガールのふるさと・福島県いわき発!フラガールズ甲子園2011」が開催されます。3月にいわきで開催されるはずだった高校生によるフラのコンテストで、震災による中止を乗り越えて都内での開催にこぎつけたものです。両日会場内ではいわき市観光物産展も催されることになっており、本会も「がんばっぺいわき」ワッペン付きトートバッグなどを持ち込んで販売することになっています。
若者たちの笑顔がいわきの未来に力を与えてくれる…それをまた実感するために、出かけて行こうと思っています。
吉田恵美子
特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長