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6月4日号
the-people
2011/06/05 16:46:00
今日のいわきは夏を思わせる陽気でした。
そんな中、128名のボランティアメンバーがいわき市小名浜地区災害ボランティアセンターに来て汗を流してくれました。
いわき市小名浜地区災害ボランティアセンターで行われている作業には、大きく分けて二種類の作業があります。
一つは津波や地震による直接的な被害を受けた地域において、ガレキの撤去や側溝の泥除きなど現地のニーズにあわせて作業を行うもの。
そしてもう一つは、被災された方々のリクエストに応えて救援物資を揃えたり、ガレキ撤去の際に出てきた写真などの被災物を洗浄し持ち主に返して差し上げる為の準備を行ったりすること。
センターを訪れる多くのボランティアのイメージする作業は前者の力仕事ですが、後者の細やかな作業も決して少なくはありません。
センターで倉庫代わりに使用している二階建ての一軒家には、各地から送られた救援物資が所狭しと並べられています。
その品目は様々で、食器や鍋などの台所用品から下着やTシャツなど衣料品や細々とした生活雑貨まで。一部には僅かですが家電製品も含まれています。
センター開設当初には届けられたダンボールがそのまま山積みにされていましたが、今では品目別に集められてコーナー掲示も下げられ、ちょっとした店舗のような雰囲気です。
一角には、被災された方から集められたリクエストにあわせてボランティアメンバーの手で集められた品々が、救援物資として提供された真新しいダンボール箱に丁寧に詰められ、リクエストされた方が受け取りに来られる日を待っています。
そして、被災された方からのリクエストは季節や状況に応じて変化してきています。
急場をしのぐものから日常の生活の為のものへ。毛布からタオルケットへ。防寒着から春夏用の衣料品へ。
これまでこの通信を通じてお願いしてきた品とは違ったリクエストも現れてきています。
特に、夏に向けてタオルケットを望む声や新しい生活を始めるにあたってテーブルなどを求める声が数多く届いています。
こうしたリクエストに応える為に、様々なルートを通してのお力添えをお願いできればと思っています。
義捐金などの配布が始まったことで、被災された方々に対する救援物資の無償提供は終了すべきとの声を耳にすることもあります。
確かに、私自身震災後行われた救援物資の一般市民向け無料配布(被災者向けとは言いつつ、何の規制もなく配られていたのが実情です)には疑問を抱いてきました。「もらい癖をつけてしまっていいのか…」という疑念が頭を離れませんでした。
しかし、センターを訪れる被災者の方々から話を伺っていると、同じように被災しながら市からの提供住宅に入居せずに民間のアパートなどを自力で見つけたために公の救援物資の提供を受けられなくなってしまったり、原発問題で避難して仕事の当てもないまま何時戻れるとの目処もないままに日々を過ごしていたりと、「受け取ったお金をできるだけ使いたくない…」という追い詰められた気持ちを抱かざるを得ない状況がひしひしと伝わってきます。
私たちのセンターでの物資提供をもう暫く継続していくことで、被災された方々の気持ちを少しでも楽にして差し上げたいと思わずにはいられません。
6月3日から、小名浜地区にある小さなショッピングモール「タウンモールリスポ」において、「津波被災の思い出の品の展示と引渡しの会」が私たちのセンター主催で催されています。
これまでガレキ撤去などの際に回収された写真や書籍など2000点ほどが、ボランティアメンバーたちの手で泥を除かれ洗浄されたうえで展示されています。
初日から被災地の方が足を運んでくださって、ご自分の写真と再会して持ち帰る方も数人出ています。
これまで、センターのコンクリートの床に洗面器を並べ、刷毛を片手に1枚1枚の写真を愛おしそうに手入れしてくれていたボランティアメンバーたちの「持ち主の手元に1枚でも多く戻れますように!」という願いが、少しずつ叶っていくことをうれしく思います。
この展示会はお盆の時期に小名浜に戻って来られる方たちにも見て頂けるようにと、8月末まで継続されることになっています。
いわきでは、新盆の家々を回って祈りの踊りを捧げるじゃんがら念仏踊りが風物詩になっています。
今年のお盆は、いわきに繋がる誰にとっても特別なお盆になるに違いありません。
じゃんがら念仏踊りの物悲しげなカネと太鼓の音が町のあちらこちらに流れるのでしょう。
吉田恵美子
特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
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6月12日号
the-people
2011/06/13 15:14:00
昨日は、震災から数えてちょうど3ヶ月目。各地で鎮魂の思いをこめた様々な催しが開催されました。そんな中、いわき市小名浜では「WE ARE ONE とくしまからふくしまへ祈りを込めて」という催しが「タウンモールリスポ」で催されました。主催は、本会ザ・ピープルと小名浜地区災害ボランティアセンターです。出演は、徳島を中心に活動しておられる人形浄瑠璃の人形遣い、吉田勘緑(カンロク)さんと彼が主宰する人形遣い集団「木偶舎」。友情出演として韓国楽器演奏と舞踏の「チングドゥル」と、いわきから徳島に避難する中で音楽活動を行っているフォークデュオ「ヒルストーン」という構成です。2009年にいわき市勿来地区の吹風殿という施設の開館3年目を記念して行われた【勿来の関人形浄瑠璃・文楽】に吉田さんが参加しておられたのが縁で、3.11大震災後吉田さんを中心に生まれた支援活動の一環での公演です。「徳島」でのチャリティ公演によって集められた義援金を元に「福島」へ元気を届けようということで、5月の連休には勿来地区の避難所で公演を行ってくださいました。今回は、小名浜地区で…とのお申し出を頂き、地区内の避難所が殆ど閉鎖された今の時期を考慮して、被災された方を含め一般の市民の方々が日常生活の中で足を運ぶ機会の多い小名浜地区内の小さなショッピングモール「タウンモールリスポ」1階センターコートでの無料公演を企画しました。2階まで吹き抜けになったリスポの共有スペースには仮設のステージが設えられ、青龍・朱雀・白虎・玄武が描かれた4枚の大きな垂れ幕が下げられました。客席は100席ほど。開演時間にはその周辺の通路にまで観客が溢れました。阿波踊りの威勢のいい音楽と踊りで始まったステージでは、若者らしい爽やかな歌声と韓国情緒溢れる音楽と踊り、そして3人の人形遣いが見事に息を合わせて生み出す繊細且つ大胆な人形浄瑠璃が次々と繰り広げられました。会場に居合わせた観客の殆どが人形浄瑠璃を生で目にするのは初めての体験であり、震災後こうした文化的な催しに足を運んだのは初めてという方も少なくありませんでした。吉田さんたちが届けようとしてくださった「元気」を会場の誰もが受け取ったことが、拍手の大きさに表れていました。震災というあまりにも大きな出来事の中で乾燥しきっていた心の奥底に、ゆっくりと文化という名前の命の水が滲みこんでいくような感覚を覚えたのは私一人ではなかったでしょう。11時と14時、二回の公演を済ませた吉田さんたちは、私たちに徳島で集められた義援金をお渡し下さった後、衣装を着替える間もなく車に乗り込みました。19時には公演が予定されている宮城県多賀城市に向けて。徳島の皆さん、ありがとうございました。首都圏でのいわき産野菜の販売会をはじめ、様々なイベントにお声を掛けていただくことが多くなりました。それにお応えすべく、ザ・ピープルでは「がんばっぺ いわき」ワッペン付きのエコロジカルトートバッグを製作・チャリティ販売し、義援金を集めようということになりました。このバッグは、本会が行う古着リサイクル活動の中で回収された古いジーパンの再活用の手法として、これまでも本会ボランティアスタッフの手で製作されてきたものです。この度、震災後の復興を後押しできればという思いで、「がんばっぺ いわき」ワッペンを付けた形に改めました。以下の日程で販売を行います。是非お近くで開催の折には足を運んでいただければと思います。6月18・19日 東京都港区麻布十番 麻布十番商店会 パティオ十番 いわき産品販売会 被災地復興応援キャンペーン 10:00~16:00 お問い合わせ先:03-3451-58126月21日~26日 東京都渋谷区神宮前 原宿クエスト 1Fピロティ 詳細未定6月24日 東京都渋谷区広尾 JICA地球ひろば 中庭 いわき産品販売会 がんばっぺ いわき!産直野菜市と3.11大震災の現場から 11:00~18:00お問い合わせ先:0120-767278※ 15:00~ JICA地球ひろば内カフェフロンティアにて、私が震災の現場からの報告をさせていただきます。なお、いわき産野菜の販売会は神奈川県相模原市「青い鳥」さん(042-782-3269)と神奈川県横浜市都筑区「WE21ジャパン都筑」さん(045-948-5596)では定期的に継続開催されています。開催日についてはそれぞれにお問い合わせ頂ければと思います。吉田恵美子特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
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いわき震災通信vol.17
the-people
2011/06/27 10:02:00
6月18日で震災後百か日が過ぎ、いわき市内で特に津波被害の大きかった豊間、薄磯地区の合同葬が豊間小学校の体育館で催されました。
昔ながらの節目の儀式をひとつひとつくぐり抜けながら、残された者たちは次第に気持ちを前向きしていくものなのでしょう。
しかし、この震災に関しては、原発事故による放射能汚染という暗い影がどこまでも私たちの上を覆っており、気持ちの切替を阻んでいます。
「全ての福島県民を対象とする健康調査が行われる」「福島市内の学校で除染による放射線量の変化が調査される」「郡山市民が原告となり、年間被ばく線量が1ミリシーベルトを超えた場所での子どもの疎開を求める仮処分裁判が提訴される」といった報道は、放射線量の数値を報道する度に繰り返されていた「直ちに健康に影響を及ぼす範囲ではありません」というコメントの空虚さを改めて思い知らせています。
ここいわき市は、放射線量が県内の他の地域に比べて少ない地域ではあるのですが…。
遅ればせながら4月19日に設立したいわき市小名浜地区災害ボランティアセンターの活動も2ヶ月が経過し、周辺の状況にも変化が現れてきています。
小名浜地区内の避難所に津波被災などのため避難しておられる方の数は当初700名を数えていましたが、現在は41名にまで減りました。
殆どの方が市内の雇用促進住宅やいわき市による民間借上げ住宅、仮設住宅に移られました。
また、ご自分で見つけた民間アパートに移られた方も少なくありません。
被災された方々の生活再建への道筋は、それぞれの選択により違ったものになりつつあります。
被災者がコミュニティから切り離され、バラバラになってしまうのでは…という懸念は現実のものになり始めています。
一方、原発の関係で双葉郡の各市町村から避難している方については、いわき市内のホテルや旅館などを二次避難先として入ってきておられます。
二次避難先がホテルや旅館であることは、プライバシーを守れる環境という意味では長期化する避難生活にとって望ましい形です。
しかし、避難者が各部屋に入ってしまっている為に、なかなかその存在や個々人の抱える課題が見えにくくなってもいます。
他市町村の住民であることが、いわき市による福祉的な支援に繋がり難いという一面もあります。
被災者への生活支援、見守りといった事業が今後ますます必要となっていくことでしょう。
小名浜地区災害ボランティアセンターが果たす機能の中で今後その対応を求められている…そう実感する日々です。
18日から、港区麻布十番商店街や渋谷区神宮前原宿クエスト、渋谷区広尾JICA地球ひろばなどで行われた東日本震災復興応援イベントの会場で、「がんばっぺいわき」ワッペン付きのトートバッグなどザ・ピープルの古着リメイクグッズを販売させていただきました。
着古したジーパンや古い帯を再生させたバッグたちを手作りする本会ボランティアスタッフたちの思いと震災後のいわき市内の状況などを説明させていただきながら、応援の意味を込めてお求めくださいとお願いしましたところ、当初の予想を大きく上回る成果を上げることが出来ました。
中には、イベント初日に足を止めて話をしていかれた方が、翌日にインターネットで本会や災害ボランティアセンターの活動を確認した上で再度足を運びバッグをお求め下さるという場面もありました。
それぞれの会場に足を運んでバッグをお求め下さった皆様、ありがとうございました。
これからの販売予定は以下のとおりです。
6月27日~30日 港区南青山 SPIRAL B1F CAY(カイ) 【EXHIBITION】ウィチョール族の世界展内にて展示・販売
6月28日~30日 渋谷区神宮前 青山学院アスタジオ
吉田恵美子
特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長