【2015年8 月15日号】

皆様、

残暑お見舞い申し上げます。

いわきの街中のそこここから、お盆の風物詩であるじゃんがら念仏踊りの鉦と太鼓の
音色が流れてきます。

立秋を過ぎても、まだまだ猛暑の中の日本列島ですが、如何お過ごしでしょうか?

前号をお送りしたのが6月5日。

それから随分と長い時間が過ぎてしまいました。

震災通信という名前で、それまで名刺を交換させて頂いた皆様に一方的な情報提供
をさせて頂き出したのは、東日本大震災の発生直後、2011年3月21日のことでした。

当時ネット上で「いわきでは老人や子供が放射能汚染でバタバタと死んでいる」と
いったデマが横行し、街から人影が消え、ゴーストタウンのようになっていく状況
を前にして、せめて自分がこれまでお会いして名刺の交換をさせて頂いた方にだけ
は真実をお伝えしたいと書き始めたものでした。

それと同時に、救援物資としては届くことのない日用品を望む声が津波被災者から
聞こえたことを受け、全国各地で調達して送り届けてくださるようお願いするため
の手段でもありました。

それまで、インターネットを活用することなどあまり積極的に考えてもいなかった
ローカルなNPOにとって、自分の発した情報が転送されながら拡散していくという
ことは全く初めての体験と言ってもいいものでした。

その通信が83号を数えるまでになりました。

 
震災から4年5ヶ月。

これほど長くこの通信を書き続けることになるとは、全く想定していませんでした。

震災通信という名称が、現状とは似つかわしくなってきたと感じつつも、そのままの
名称で今回の通信を送らせて頂きます。

今回は、「いわきおてんとSUN企業組合」について書かせて頂きます。

2013年2月、「いわきおてんとSUN企業組合」という組織を立ち上げようとしたと
き、理事として名を連ねた6名の胸の内にあったのは、福島の未来を自分たちの手で
創りたいという熱い思いでした。

別々な3NPO法人で動いてきた中心メンバーと、震災後の混乱期を共に潜り抜けてきた
若者たちによる船出は、自分たちの理想の社会を形にしようと、希望に溢れたもので
した。

オーガニックコットンの栽培からものづくりに至る事業化(NPO法人ザ・ピープル)・
再生可能エネルギーへの市民の力でのエネルギー転換の実現(NPO法人インディアン
ヴィレッジキャンプ)・いわきでなければ伝えられない学びを伝えるスタディツアー
(NPO法人ふよう土2100)。

この3つの活動の組み合わせから、今までにない価値や学びを社会に伝えようとの試
みでした。

三兎を同時に追うような事業内容との批判が、周囲から無かった訳ではありませんで
したが…。

ありがたいことにたくさんのご支援くださる皆様に囲まれ、被災地でいち早く未来志
向の活動を開始したことを評価頂けたのか、財政的な支援にも恵まれ、私たちの船出
は順風満帆と言っていいものでした。


お寄せいただく期待に応えようと、事業規模は拡大していきました。

理事たちは、それぞれが本来所属する組織の業務の中核を担っていたり、本業を別に
持っていたりということで、この企業組合の業務に専念することはなかなか難しいも
のがありました。

私自身、ザ・ピープルの活動との狭間で思うように動ききれない悩みを抱えることに
なりました。

その隙間を埋めるためにスタッフを雇用し、一時的にスタッフ7名の大所帯になりました。

当座直面している業務をこなすため、助成金を財源として充てられるから…という理
由で結ばれた雇用関係の中で、理事である自分たちとスタッフの間には、いつしか溝
ができました。

スタッフの中に生まれた「自分たちの望んでもいないことを、一方的にやらされてい
る」という不満が、その溝を深くしていきました。

初め、私たち理事はそうした溝の存在に対してあまりに鈍感でした。

そして、そうした溝の存在に気付く頃から、私たちはそのことのみならず多くの問題
に取り囲まれていることにも気付かされることになりました。

企業組合という営利組織の経営を、人任せにしてはならないことを思い知らされまし
た。

毎週、毎週押し寄せる課題に向き合おうと開かれる理事会では、重苦しい雰囲気の中、
ディスカッションが重ねられました。

誰かが言いました。「毎週がプロジェクトXだ…」と。

そして私たちは一つの結論にたどり着きました。

 

いわきおてんとSUN企業組合では、組織の持つ力にとって適正と思われる規模にま
で業務を縮

小することを決断しました。

スタッフに組織の現状を伝え、判断を委ねました。

スタッフとして踏みとどまったものは2名。

「ふくしまオーガニックコットン」というブランド名を確立したいと意欲を燃やす青
年と、有機農業に賭けてみたいと事務所周辺で農業を始めた若い女性です。

そして、事務所があるいわき市好間町中好間の農村エリアで、本当に自分たちが理想
とする取り組みを具現化することに、活動の主力を向けることにしました。

それは、オーガニックコットン栽培をはじめとした環境保全型農業、再生可能エネル
ギーを活用した暮らしづくり、いわき発の手仕事づくりなど、未来を創る新しい「コト
づくり」です。

加えて、私たちの試みに賛同下さる方々を「おてんとファミリー」として募り、ご一
緒頂く機会を設けようと、若者たちの発案による企画を考えました。

「おてんとファミリー」を募る会報「おてんと日和vol.0」が、ホームページ上に
アップされています。ぜひご覧下さい。

 <http://www.iwaki-otentosun.jp/otentosun/news/2015/08/post_33.php>
http://www.iwaki-otentosun.jp/otentosun/news/2015/08/post_33.php

そして、ファミリーの一員に加わってください。

 

農家の一軒家を事務所として定めた時から、自分たちのしたいことをここで実現しよ
うと語り合っていました。

夢を実現するための場がここにあります。

そして、そのための事業を、理事とスタッフの別なく進めていきます。

多くのスタッフの手がなくなったことで、できることには制限が生まれました。

自ら汗を流さないと何事も実現できない、そして稼ぎ出さないと事業として継続でき
ない。

補助金に依存するのではなく、自分たちで必要な事業費を生み出せる組織にならねば
ならない。

ここからが私たちの新しいチャレンジです。

 
震災から丸4年が過ぎ、被災地と呼ばれている地域にはこれまでとは違った風が吹き
始めています。

その風は、プラスの向きにも吹いていますし、マイナスの向きにも吹いています。

どちらに向いた風を捉えて進むかは、私たち自身の舵取りにかかっています。

私たちの舵取りを、見守っていただけたらありがたいです。

 
長文にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

 

吉田恵美子

特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長

事務局 〒971-8101 福島県いわき市小名浜蛭川南5番地の6

TEL 0246-52-2511

FAX 0246-38-9538 

携帯 090-2881-3107

URL: <http://www.iwaki-j.com/people/> http://www.iwaki-j.com/people/

いわき市小名浜地区復興支援ボランティアセンター センター長

事務所 〒971-8164 福島県いわき市小名浜君ヶ塚町13-6    

TEL/ FAX 0246-92-4298 

 <http://onahama-volunteer.jimdo.com/> http://onahama-volunteer.jimdo.com/

いわき おてんとSUN 企業組合 代表理事

事務所 〒970-1152 福島県いわき市好間町中好間字川原子作17-1 

TEL 0246-80-0662

FAX 0246-85-5978   

 <http://www.iwaki-otentosun.jp/> http://www.iwaki-otentosun.jp/

この記事は、2015年8月15日号を8月29日に転載したものです。