【2015年6月5日号】

皆様

 入梅の報が届く頃になりました。

真夏を思わせるような暑さの方が先に到来していたので、このまま梅雨なしで真夏に
突入するのでは?と要らぬ心配をしていましたが、どうやら梅雨から夏へとの手順は
踏んでもらえそうです。

今年の「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」にとって、先月は新しい取り
組みが生まれる月間となりました。

双葉郡富岡町の社会福祉協議会からお話を頂き、市内小名浜上神白地区にあるおてん
とさんファームカジロのコットン畑の一角に、富岡町からの避難者の皆さんが集って
栽培を行う「みんなの畑」が設けられることになりました。

そして、その畑でのコットン栽培の農作業をするために、復興公営住宅や仮設住宅な
どにお住まいの方々が毎月1回定例の作業日(毎月第3火曜日)に集合しようというこ
とになり、その第1回目の作業日が5月26日にあったのでした。

雨のために当初の予定日を1週遅らせての実施ということで、何名の方が集まってく
ださるのかと心配していまし

たが、当初の予想を大きく上回る20名ほどの方が集まってくださいました。

社会福祉協議会の生活支援相談員の方々が個別訪問の際に細めに声をかけてくださっ
た成果でした。

中高年の女性が大半ですが、中には男性の方も数名おられました。

皆さん、帽子に長靴、首にはタオルを巻き…と準備万端のスタイルで集まりました。

当日の作業は、畝立てとマルチと呼ばれる黒いビニルシート敷き。そしてポットで発
芽させておいた小さなコットン苗の定植でした。

1反程の広さの畑は、震災前は近くの小学校に学校田として貸し出されていた田んぼ
でした。

震災後、子供たちの土いじりが制限された時期に学校から返され、耕作放棄されよう
としていたものをコットン畑

として再生させようとしているのです。

栽培1年目には粘土質の土壌に悪戦苦闘しましたが、今年で3年目の栽培になり、少し
ずつ畑らしくなってきました。

それでも畝を立てるには重い土が作業の邪魔をします。

皆さん作業を終えられるのか不安な気持ちを抱えながら、懸命に汗を流していました。

若者サポートステーションからジョブトレーニングとして通って来ている若者が、耕
運機の動かし方を富岡町の方に教えています。

若い女性の指示に、おじいちゃんがうん、うんと返事をします。

鍬を持つ腰つきが堂にいったおばあちゃんにスタッフが声をかけます。

「さすがですね。鍬を持つのはどれ位振りですか?」すかさず声が返ってきます。

「4年半振り」

「ここはいいね。どんなに大声出して笑っても誰にも迷惑かけないものね」

誰かが晴れやかな声で話します。

12時の作業終了時には、無事定植作業を終了させ、畑の一角に「みんなの畑」と書か
れた看板を立てました。

真夏を思わせるような日差しの中での作業であったにも関わらず、誰ひとり脱落する
ことなく、80代のおばあちゃんも笑顔で作業を終えることができました。

昼食は、畑の持ち主の伊藤さん宅の納屋で、各自が持参したおにぎりと伊藤さんのお
ばあちゃん手作りの味噌汁でした。

「みんなで食べるとおいしいよね」 皆が頷きます。

私たちがこのプロジェクトをスタートさせた時から目指していたもののひとつが、
今ここに出来上がろうとしていると心から感じられるひと時でした。

社会福祉協議会の方が仰っていた言葉が思い出されました。

「これからは、いわきの方たちと一緒にすること、一緒になれる場が必要なのだと思
うのです」

 震災から4年3ヶ月。

まだ、課題が全て解決された訳ではありません。

でも、着実に前に向いて進んでいるのです。

 

吉田恵美子

特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長

事務局 〒971-8101 福島県いわき市小名浜蛭川南5番地の6

TEL 0246-52-2511


※この記事は、2015年6月5日号を8月29日に転載したものです。